SS 「お祭り騒ぎ」

ご訪問ありがとうございます!

昨日はLaLaの発売日でしたね!
もう、今月号はホントにもう~~!!
床ローリングしましたよ!
ニヤニヤが治まらずに大変でした~。

SS「お祭り騒ぎ」です。恋人期間です。
続きからどうぞ!
感想などお聞かせ下さると嬉しいです♪




お祭り騒ぎ                      恋人期間
 
堂上と夜を過ごす事に郁が少し慣れてきた頃、季節は初夏になろうとしていた。
 
前日からホテルに宿泊し、公休日の今日、ホテルをチェックアウトした二人は街を歩いていた。
今日は特に何も目的はない。
近くに割と大きな公園がある様だったので、何か買って行って、そこで、お昼を食べようか、などと話しながら、のんびりと歩く。
 
と、どこからか祭囃子が聞こえてきた。
どちらからともなく、音のする方へと歩き出す。
 
「わあっ!可愛い!!」
郁が歓声を上げる。
どうやら地元の神社のお祭りらしい。
ちょうど、子供神輿が通る所だった。
 
揃いの法被を着た子供たちが可愛らしい声を上げながら、神輿を担いでいる。
堂上もその可愛らしさに頬を緩めた。
 
子供神輿が通り過ぎた後、郁がまた歓声を上げた。
「あ!教官、屋台も出てますよ!」
「ホントだな。割と沢山出てるな。行ってみるか?」
「はい!」
郁が満面の笑みで頷く。
 
少し先の道の両側に屋台が沢山並んでいた。
人も沢山いる。
「わあっ!」
郁が瞳を輝かせながら、キョロキョロと屋台を見回す。
 
まるで子供の様な郁の様子に堂上が笑う。
「何食うんだ?」
「え~と、まずはたこ焼き!あ、かき氷も欲しいです!」
「わかった、わかった」
まず、たこ焼きを買う。
道の所々に長椅子の様な木の台が置いてある。
ちょうど、そこがひとつ空いたので、郁を座らせ、堂上がかき氷を買いに行った。
 
「あれ?教官の分は?」
戻ってきた堂上の手にかき氷がひとつしかないのを見て郁が首を傾げる。
「俺はひとつ全部もいらないから、お前のをちょっともらう」
堂上が郁の隣に腰を下ろす。
 
郁がいただきます、と言って、たこ焼きを口に入れた。
はふはふと美味しそうにたこ焼きを頬張る郁を、堂上が優しい眼差しで見ている。
堂上は、郁がたこ焼きを呑み込んだのを見計らって、かき氷をすくい、郁の口元に持って行った。
 
郁が嬉しそうに、堂上の差し出したかき氷をパクリと食べた。
「美味しい~!あ、教官もたこ焼きどうぞ」
郁がたこ焼きを爪楊枝にさして、堂上の口元に持って来た。
 
そして、その後もお互いかき氷とたこ焼きを食べさせ合う。
途中、堂上はふと思った。
 
郁が手にたこ焼きを持っていたから、食べにくいだろうと思って、堂上がかき氷を食べさせていた。
何の気なしの行動だったが、これはひょっとして、傍から見たらバカップルか?
隊の奴等に見られでもしたら、エライ事になりそうだ。
 
が、ここは基地の近くでもないし、何より堂上の差し出すかき氷を嬉しそうにパクリと食べる郁が何とも可愛らしかったし、郁から食べさせてもらうたこ焼きも美味しかったので、堂上はそれ以上深く考える事を止めた。
 
そして、その後もお好み焼きや焼きそばを半分ずつし、ヨーヨーすくいなどもして、二人はお祭りを満喫した。
 
 
そして、次の日、堂上が出勤すると、先に出勤していた他班の班員の様子がおかしかった。
堂上の顔を見るなり、俯いてしまったのだ。
「どうしたんですか?」
と、堂上が尋ねたが、「な、なんでもないから」と言ったきり、顔を上げようとしない。
俯いた隊員の肩が震えている。どうやら笑っている様だ。
特に笑われる様な事をした覚えなどない。
訝しげに首を捻りながら、堂上は仕事の準備を始めた。
 
が、その後も出勤してくるメンバーが堂上の顔を見るなり、みんな一斉に吹き出す。
「一体、何なんですか!?」
が、みんなげらげら笑っているだけで、誰も答えようとしない。
 
もちろん小牧も同様で、堂上の顔を見た途端吹き出し、誰よりも激しく笑っている。
唯一吹き出さなかった手塚に堂上が詰め寄る。
「これは一体、何なんだ!?お前、何か知ってるか?」
「お、俺の口からはちょっと……」
手塚が気まずそうに堂上から目を逸らす。
 
「おはようございまーす」
上機嫌で入ってきた郁が異様な事務室の様子にギョッとする。
「な、何なんですか、これ!?」
「わからん」
堂上が顔を顰めながら首を振る。
 
郁が事務室に入って来てから、みんなの笑いが一段と激しくなった様な気がする。
堂上と郁が二人して首を捻っていると、そこへげらげら笑いながら進藤が近づいて来た。
そして、笑いながら、携帯を取り出し、なにやら操作している。
 
そして、その携帯を手にしたまま堂上と郁の目の前に持って来た。
堂上と郁が携帯を覗き込むと、携帯の画面に動画が再生されていた。
 
それは、昨日の堂上と郁のお祭りでの様子だった。
二人並んで座り、仲睦まじく、かき氷とたこ焼きを食べさせ合っている様子が映し出されている。
 
「きゃあ~!な、なんで!?」
郁が顔を赤くし、叫ぶ。
完全に硬直していた堂上が郁の叫び声で我に返り、進藤から携帯を取り上げようとするも躱される。
 
「な、なんで!?こんな動画、誰が!?」
「あ~、悪い、俺、俺」
名乗りを上げたのは、青木班の松本だった。
「俺の実家、あの近所なんだよ。昨日実家に用があったから有休取ってて。用事終わった後、お祭り覗きに行ったんだ。そしたら堂上と笠原見かけて。声掛けようかと思ったら、アレが始まって……!」
松本がまた吹き出した。
 
進藤が後を続ける。
「で、松本は携帯で動画を撮った、と。そんで、こんな面白いもん、みんなで共有するしかないだろ。松本が俺にデータ送ってきたから、俺が官舎の連中、寮の連中には松本が。
昨日夜勤だった連中と、出張に行ってる玄田隊長以外は特殊部隊全員回覧済みだ!」
進藤が何故か自慢げに胸を張る。
素晴らしい連携ですね、って誰が褒めるか!!
堂上が心の中で突っ込む。
 
これをみんなに見られたのか……!
 
うわあ、恥ずかしい!
郁にとっても何の気なしの行動だったが、改めて、動画で見るとこれはかなり……。
この動画をみんなが見たのかと思うと、かなり恥ずかしいし、照れくさい。
郁としてはそれ位のものだったが、堂上の受けた衝撃は郁よりも大きかった。
 
郁とプライベートで過ごしている時に、顔が緩んでいる自覚位は堂上にもある。
が、当然ながら堂上はその顔を自分では見た事がない。
 
……俺はいつもこんな、緩みきった締りのない顔をしているのか!
まさかここ迄緩みきった顔をしているとは、自分でも思っていなかった。
それを目の当たりにし、しかもそれが隊の連中に回覧されたときた。
堂上はあまりの衝撃に言葉を発する事も出来ずに、がっくりと項垂れた。
 
今迄ただひたすら笑っていただけの隊員達が、爆笑を続けながら口々に言い始める。
「ど、堂上のあの顔!!」
「あの緩んだ蕩けそうな顔!普段の仏頂面からは信じらんねえ~!!」
「堂上が、あ~ん、とか!!」
「あ~、笑い過ぎて腹いてえ~!!」
 
「で、でも!これが特別、って訳じゃないですよ!普段二人でいる時はいつもこんなもんですから!」
 
郁が思わず言い募った言葉に全員が吹き出した。
事務室に更に大きな爆笑が響き渡る。
「お前……!」
堂上が鬼の形相で郁を睨みつける。
 
「え!?な、なんで……!?」
オロオロしている郁に、沈痛な顔で溜息を吐いた手塚が問い掛けた。
「お前、今の、ひょっとしてフォローしたつもりだったのか?」
「う、うん!」
力いっぱい頷いた郁を見て、また手塚が大きな溜息を吐いた。
「……全くフォローになってない。というか、とどめだ」
「ええ!?そんな!」
 
フォローしたつもりだった郁にとっては甚だ不本意だが、この状況を見れば、とどめを刺した、という手塚の言葉に反論は出来ない。
机に突っ伏し、どんどんと叩きながら笑っている者、そして小牧を始め、数人は床を転がりながら爆笑している。
郁は無言で身を縮こませた。
 
そしてとうとう堂上がぶち切れた。
「やかましい!!人がプライベートでどんな顔をしようと勝手でしょう!!放っといて下さい!!もう始業の時間ですっ!さっさと席に戻って下さい!!」
 
みんなの笑い声を凌駕する堂上の怒声が事務室内に響き渡り、漸く隊員達の笑い声が収まり始める。
「わかった、わかった」
「怒んなよ、堂上~」
 
なんとか笑いを収めたみんなが自分の席に戻り始める。
「進藤一正、松本二正」
堂上の声に二人が足を止めた。
「動画のデータを持っているのはお二人だけですか?」
「ああ、そうだよ」
進藤が答え、松本も頷く。
「消去して下さい」
「わかった、わかった」
「今、ここで消して下さい。今すぐに!」
「何だよ、信用ねえなあ」
進藤がぶつくさ言いながら、携帯を取り出し、松本も進藤に倣い携帯を取り出した。
 
「あのお、消去する前に、あたしにその動画転送してもらうわけにはい」
「アホか、貴様!!却下だ!!」
思わず口を開いた郁だったが、堂上の怒声に遮られ、ひいっ、と首を竦める。
 
あー、やっぱ、駄目か。
堂上教官、可愛かったのになあ~。あの動画欲しかったなあ~。
心の中で郁が呟く。
 
「ん~、どうやって消去すんだ、これ?ちょっと待てよ~」
「早くして下さい!」
 
「お!よし、消去出来た!ほら」
進藤が堂上に携帯を見せる。
堂上が進藤と松本の携帯を見て、動画が消去されたのを確認し、漸くホッとした顔になった。
 
進藤が戻り際に堂上には見えない様に、郁に目配せした。
首を傾げた郁だったが、進藤の目配せの謎はすぐに解けた。
 
郁の携帯にあの動画が転送されていたのだ。
進藤が消去の操作に戸惑っている振りをしながら、素早く郁に転送してくれたらしい。
 
郁がそれから時折こっそりとその動画を見ては、ひとりでニヤニヤしている事を堂上は知らない。
 
 


  1. 2012/04/25(水) 07:00:00|
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