SS 「唇と指」

ご訪問、ありがとうございます!

今日はバレンタインデーですね!
SSは無理かなあ、と思ってたんですが、トリュフを作りながら妄想が湧いてきたので、午後から書き始めました。(内容はトリュフとは全く関係ないですが・笑)

なんとか書き上がったので、こんな時間になってしまいましたがアップします!

SS「唇と指」です。上官・部下で革命中のバレンタインデーです。
続きからどうぞ!

あ、そうそう書くの忘れてましたが、ララデラ良かったですね~!!
映画の情報も出てきて楽しみです!「革命のつばさ」!!
これは「革命」だと思っていいんですよね?
カミツレデートやあんなシーンやこんなシーンが映画で見られるのかと思うと……!!


唇と指                       上官・部下
 
今日は2月14日、バレンタインデー。
 
夜、堂上と郁は稲嶺を乗せて稲嶺邸に向かい、稲嶺と当麻が夕食を摂っている間に、いつも通り小牧と手塚とミーティングを済ませた。
 
小牧と手塚は基地に帰り、堂上と郁は夕食の食器を二人で片付ける。
リビングでは稲嶺と当麻が談笑している。
堂上は少し仕事をする、とみんなに断ってから、書斎へ入って行った。
 
郁のポケットにはチョコが入っていた。
 
基地と稲嶺邸をめまぐるしく行き来している今、郁にはあまり自由に出来る時間がない。
隊のみんなに渡すつもりの徳用チョコは柴崎に頼んで買ってもらっておいた。
その徳用チョコは今日の朝、隊に置いた。
夕方にはおそらくなくなっているであろうから、あらかじめ小牧と手塚の机にはひとつずつ置いておいた。
 
堂上も徳用チョコをつまんでいたのはこっそり確認している。
今郁のポケットに入っているのは、今日の昼にコンビニに駆け込んで買い求めたものだ。
 
堂上への恋心をはっきりと自覚している今、堂上には徳用チョコだけでなく、何か別なチョコをどうしても渡したくなった。
かといって、今この状況下で告白などするつもりはないので、あくまで日頃お世話になっている上官に感謝の気持ちを込めて、というラインでの話である。
本当はじっくり吟味して選びたかったが、買いに行く時間はないし、まさか柴崎に頼む訳にもいかない。
仕方なく、今日コンビニに駆け込んだ。
もうあまり数は残ってなかったが、なんとか納得出来る物を購入する事が出来た。
 
堂上は郁の直属の上官だ。
隊の徳用チョコとは別に個人的に渡しても問題ない筈だ、と郁は自分に言い聞かせる。
 
稲嶺と当麻にコーヒーを淹れ、堂上の分をトレイに載せる。
郁は胸をドキドキさせながら、書斎のドアをノックした。
 
「はい」
堂上の返事が聞こえてから、ドアを開ける。
「あの、教官、コーヒー淹れたんですけど」
「ああ、ありがとう。もらう」
 
郁は堂上の傍に行き、コーヒーを机に置く。
「ありがとう。ちょっと休憩するか」
堂上はそう言いながら、コーヒーに手を伸ばした。
 
「あ、あの、堂上教官」
「ん?」
 
郁はポケットからチョコの包みを取り出す。
「あの、今日はバレンタインデーなので!その、堂上教官にはいつもお世話になっているので、か、感謝の気持ちです!」
 
郁は真っ赤な顔でチョコを堂上に差し出す。
 
感謝の気持ちです、深い意味はないですよ。
郁が言っているのはそういう事だ。
だが、その言葉とは裏腹に真っ赤になった表情と態度が郁の本当の気持ちを雄弁に語っている。
 
堂上は一瞬驚いた様に目を瞠ったが、すぐに吃驚する程柔らかく笑った。
「ありがとう」
堂上は郁の手からチョコを受け取った。
「開けてみてもいいか?」
「は、はい!」
 
堂上がチョコの包みを開ける。
中に入っていたのは小さいチョコの詰め合わせだった。
可愛らしいチョコに堂上の笑みがこぼれる。
 
「食っていいか?」
「もちろんです。でもあの、時間がなくて、コンビニで買ったので、味の方は美味しいかどうか、わかんないんですけど……」
堂上はひとつだけ入っていたハート型のチョコをつまむと口に入れた。
 
ハート型のチョコを迷いなくつまんだ堂上に郁の胸は跳ねた。
いや、別に深い意味なんてないから!
またドキドキしだした胸を抑える為、郁は自分に必死に言い聞かせる。
 
「うん、美味い」
堂上が郁に笑いかける。
「ホントですか!?」
「ああ。ほらお前も食ってみろ」
堂上は箱からひとつチョコをつまむと郁の口元に持っていった。
 
郁は反射的に口を開けて、チョコを食べた。
そして、ほんの一瞬、堂上の指が郁の唇に触れた。
 
堂上にはまるで電流が走ったかの様に感じられた。
そして、その事に内心酷く狼狽するが、表面上はそれを押し隠す。
 
堂上にしてみれば、深く考えての事ではなかった。
郁も味が気になるだろう、という何の気なしの行動だった。
 
だが、よく考えてみれば、別に堂上が郁の口元にチョコを持って行く必要など、全くない。
お前も食ってみろ、と箱を差し出せば済んだ話だ。
どう考えてみてもその方が普通だろう。
 
俺は一体何をやってるんだ!?堂上は自分を罵る。
思いがけず郁からチョコを貰って、舞い上がってしまったのか。
 
郁は郁で、反射的に口を開きチョコを口に入れたが、堂上の指が唇に触れた瞬間、心臓が止まるかと思った。
今も胸がドキドキして、チョコの味もロクに分からない。
堂上の指が触れた唇が熱い。
 
お互い狼狽して、少し間が開いた後、堂上が場を取り繕う様に言った。
「……美味いだろう?」
「は、はい、結構美味しいですね」
実際の所味なんて分からなかったが、郁は慌ててそう答える。
 
郁の顔はチョコを渡した時よりも更に真っ赤になっていた。
心なしか、堂上の顔も赤くなっている。
 
「……俺はもう少し仕事するからお前はもう休んでいいぞ」
「あ、はい。お仕事の邪魔してすみませんでした」
堂上の言葉に郁が頭を下げ、書斎を出ようと歩き出す。
 
「笠原」
ドアを開けようとする郁を堂上が呼び止める。
郁が振り返ると、堂上が微笑む。
「ありがとな。嬉しかった」
 
堂上のその言葉に郁は頬を染めながら、とても嬉しそうに頷くと書斎を出て行った。
 
堂上は自分の手を見る。
ほんの一瞬だけ触れただけだというのに、郁の唇が触れた感触がリアルに残っている。
指が熱い。
 
このまま二人きりでこの部屋に居たら、自分の自制心の限界ラインを軽く超えてしまいそうで、怖かった。
だから郁を書斎から出る様に促す様な事を言った。
もう少し二人で話をしたかった気持ちは当然あったが、自分を抑えられる自信がなかった。
 
堂上は頭を切り替え、仕事に集中しようとしたが、ふと自分の手に目がいくと、郁の唇の感触が甦ってくる。
 
結局その日、堂上の仕事は殆ど捗らなかった。
 
 
 
  1. 2012/02/14(火) 17:18:34|
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