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SS 「誕生日」

ご訪問ありがとうございます!

今年も残るところ後五日ですか……。
さあ、大掃除しなきゃ……(汗)

今日のSSは一周年記念のリクエスト第五弾です。
RINさまより、リクエストして頂きました!
「誕生日」です。上官・部下。カミツレデート直前の堂上教官の誕生日です。
(タイトル……なんとかならなかったのか、と自分でも思います。すいません……)

続きからどうぞ!


 誕生日                    上官・部下
 
何も告白する訳じゃあるまいし、そんなに緊張しなくてもっ!
 
先程から必死で自分自身に言い聞かせている郁が立っているのは、特殊部隊の事務室のドアの前だ。
そこに立って、自分自身を鼓舞し続けてもう既に五分以上が経過している。
 
今日は堂上の誕生日だ。
堂上への想いを自覚した郁はどうしても「誕生日おめでとうございます」と言いたくなった。そして、出来れば何かちょっとしたプレゼントも渡したい。
そう決めたのは早かったが、プレゼントを何にするかで散々悩んだ。
 
いかにもプレゼント!という様なものは避けた方がいいと思った。
ちゃんとしたプレゼントだと、告白じみたものに思われてしまうかもしれない、という恐れがあった。
思い返してみれば、きっと随分前から堂上の事を好きだったんだろうなあ、とは思う。
多分、堂上が王子様だと知った時よりも前から。
だけど、郁が堂上への想いをはっきりと自覚したのはつい最近だ。
まだ告白なんてとても出来そうにはないし、まだ告白するつもりもない。
あくまで、常日頃お世話になっている部下が感謝の意味で渡す、というラインを守りたい。
お酒という考えも浮かんだが、やはり、使ってもらえる物の方が嬉しい様な気がしたので、お酒は却下した。
と、なればやはり仕事で使う物がいいか……。
 
そして、悩みに悩んでプレゼントを決め、その包みは今郁が抱えている。
 
……折角、プレゼントも買ったんだし!
郁はもう一度、自分を鼓舞すると、覚悟を決めてドアに手を伸ばした。
 
気配を殺して、そおっとドアを開く。
そして、そっと事務室の中の様子を窺う。
 
郁が予想した通り、今事務室の中に居るのは堂上一人だけの様だ。
書類仕事を片付けている堂上の姿を見て、郁の胸はキュンと鳴る。
……かっこいいなあ。
 
気配に気付いたのか、堂上が顔を上げた。
少し開いたドアの向こうに郁の姿が見えた。
「笠原?どうした、忘れ物か?」
「い、いえっ!違います」
ぼおっと、堂上に見惚れていた郁は急に堂上に声を掛けられ、思わず飛び上がりそうになりながら、答えた。
 
また郁の心臓がバクバクいい出した。ドアを開ける前よりもひどい状態だ。
郁は「なんでもないです!」と叫んで逃げ帰りたい、という衝動と必死に戦った。
 
郁の様子を怪訝に思ったのか、堂上が立ち上がる。
郁はそれを見て慌てて事務室の中に入っていた。
堂上は仕事中なのだ。あんまり手間と時間を取らす訳にはいかない。
堂上の傍まで、駆け寄る。
 
「あのっ、堂上教官、お誕生日おめでとうございます!これ、良かったら使って下さい!!」
郁は一気にそう言うと、堂上の前にプレゼントの包を差し出した。
アロマオイルの時と同様、今回もラッピングは簡素な物にしておいた。
 
堂上は驚きで目を見開いた。
そう言えば、確かに今日は俺の三十歳の誕生日だった。
……すっかり忘れていた。
最近仕事が立て込んでいた堂上は自分の誕生日の事など、綺麗さっぱり忘れていた。
 
自分では特に嬉しい、と思う訳ではないが、人に言ってもらうとやはり嬉しいものだ。
ましてやそれが郁ならば、堂上にとってこれ以上嬉しい事はない。
 
堂上は嬉しそうに笑った。
「ありがとう」
そして、郁の手からプレゼントの包みを受け取った。
「開けてみていいか?」
「あ、はい」
 
堂上が包みからプレゼントを取り出した。
それは堂上がいつも使っているのに良く似た、書類を入れるファイルだった。
郁が散々考え、観察した結果、今堂上が使っているファイルが擦り切れかけているのに気が付いた。
それで、ファイルにしようと決めた。
全く同じものにしなかったのは、自分で選んだ物を使ってもらえたら嬉しいなあ、という郁の乙女心だ。といっても堂上の趣味に合わなかったら困るので、よく似た感じの物を選んだ。
 
「丁度、買い換えなきゃいけないな、と思ってた所だ。ありがとうな」
堂上がまた嬉しそうに笑った。
 
予想していたよりもずっと嬉しそうな様子の堂上に郁も頬を染めながら嬉しそうに笑った。
すごく緊張したけど、勇気を出して本当に良かった、と郁は思った。
「お仕事の邪魔しちゃって、すみませんでした」
郁が頭を下げた。あんまり仕事を中断させるのも悪い。堂上の仕事量の多さは郁も良く知っている。
 
「いや。嬉しかった。……ありがとうな」
堂上が柔らかく微笑んで、郁の頭に手を伸ばす。
優しく郁の頭を撫でる。
郁が頬を染めたまま、嬉しそうに笑う。
その郁があんまり可愛くて、可愛くて。
 
郁の頭に載っていた堂上の手が郁の頬に滑り落ちる様に移動して、郁の頬を包む。
郁が驚いた様に目を見開く。
郁は硬直したまま動けない。
堂上の手に一瞬だけ力が籠った後、堂上は我に返った様に慌てて郁の頬から手を離した。
 
「……ほんとにありがとうな。気を付けて帰れよ」
「は、はい!じゃあ、失礼します」
郁が一礼して、ドアの方に向かう。
「笠原」
堂上が郁の背中に呼び掛ける。
「15日、楽しみにしてる」
振り返った郁に堂上が言った。
堂上の言葉に郁はもの凄く嬉しそうに笑った。
「はい!あたしもです!!」
 
郁の姿が事務室から消えた後、堂上は大きく息を吐くと、椅子にどさり、と座り込んだ。
 
俺は一体、何を……!
思わず、郁の頬に手が滑り降りた。
あの時、我に返らなかったら、一体何をしていたのか。
きっと、郁を引き寄せて……。
 
堂上はぶんぶんと頭を振る。
まだ、気持ちも伝えてもいないのに、何を考えてんだ、俺は!
 
……全く、あいつは!
また自制心のラインを更新させやがった。
 
郁への想いを閉じ込めていた箱。
その蓋がなくなってからというもの、日々自制心と戦っている。
ふとした拍子に溢れだしそうになる郁への想いを抑えるのに必死だ。
 
今日の事にしても、一度帰ってから、わざわざ堂上の為に戻って来てくれた。
そして、頬を染めながら、「お誕生日おめでとうございます」と言ってプレゼントを渡してくれた。
今使っているファイルはもう擦り切れかけていたので、本当に買い替えなければ、と思っていた所だった。
ちゃんと堂上の事を見て、プレゼントを考えてくれたのだ、という事が堂上にはよく分かった。
そんな郁の事が可愛くって堪らなかった。
そして、頬を染めながら嬉しそうに堂上に頭を撫でられている郁はもう、とんでもない程可愛かった。
だから思わず、手が勝手に動いてしまった。
つい、フライングをしそうになってしまったが、寸での所でなんとか踏み止まったのだから、むしろ自分を褒めるべきかもしれない。
よく、耐えた、と。
 
……後少しだ。
来月の15日。
郁にカミツレのお茶に連れて行ってもらう約束はもう取り付けてある。
その日、堂上は郁に思いを告げるつもりだ。
 
もちろん、郁が堂上と同じ気持ちを持っている、と完全な確信がある訳ではない。
単に上官として尊敬しているだけです、と言われるかもしれない、という不安は拭い切れない。
だが、特に最近の郁の態度を見るにつけ、郁も堂上と同じ気持ちを抱いている確率はかなり高いのではないか、と思っている。
 
結果がどうであれ、今と状況が変わる事は確かだろう。
堂上はもう一度、大きく息を吐いた。
 
後、もう少し……。
 
結局、告白するつもりだったカミツレのお茶に行った日、告白する前に呼び戻され、しかもそれが大事件に発展した為、その後も告白する事は叶わなかった。
その後、半年以上に渡って、自制心の限界ラインを何度も何度も更新する羽目に陥る事になろうとは、この時の堂上は全く想像していなかった。
 
 




RINさまよりのリクエスト内容は……
「期間:ジレジレ期(カミツレデート前)教官の誕生日にお祝いをしたくて頑張る郁ちゃんとそのせいで自制心の限界ラインを激しく更新する羽目になる教官」
……でした!

SSの中では日付は出してないのですが、今日12月27日はRINさまの結婚記念日という事なので、今日アップさせて頂きました!
私の中でもなんとなく、クリスマス過ぎてからのイメージがありましたので、27日だと丁度いいかな、と。
自制心の限界ラインと戦う堂上教官は大好きなので、楽しく書かせて頂きました。
RINさま、リクエストして頂きありがとうございました。そして結婚記念日おめでとうございます!

年の瀬でみなさまお忙しいと思いますが、感想聞かせて頂けたらとても嬉しいです。



 
  1. 2011/12/27(火) 07:00:00|
  2. 図書館SS
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  4. | コメント:1
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  1. 2011/12/29(木) 13:26:38 |
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