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SS 「同窓会」 後編

ご訪問ありがとうございます!

「同窓会」後編です!

続きからどうぞ!


 同窓会  後編             上官・部下

それから暫く堂上班は訓練や警備などが続き、図書館業務に就く事はなかった。
が、柴崎の情報によると、相変わらず川島は毎日通ってきているらしい。
 
或る日、堂上と郁のバディで館内を巡回中、廊下で堂上に声を掛けてきた女性が居た。
その時まで郁は川島の顔を認識していなかったが、ああ、この人が川島さんなんだ、とすぐに分かった。
 
目立つ程の美人、という訳ではないが、落ち着いた、清楚な感じのする女性だ。
「堂上君、今日は図書館業務なの?この間の本、面白かったわ。また他にも面白そうな作家さん教えて欲しいな」
「今日は図書館業務じゃないし、今は警備中なんだが」
「ああ、そうなの。じゃあ、また今度」
川島はあっさり引き下がると、郁の方にも軽い微笑みで会釈をし、閲覧室の方に戻って行った。
 
「……感じのいい人ですね」
川島が去って行った後、郁がぼそりと呟く様に言った。
「そうか?俺にはよく分からん」
堂上としては郁が心なしか元気ない様子に見え、そちらの方が余程気になる。
 
「それよりお前、最近元気ないみたいだけど、体調でも悪いのか?」
「え?いえ、大丈夫です、元気ですよ?」
「本当か?」
「はい」
笑顔で頷いた郁を見て、堂上は少し安心した。
「そうか。ならいい」
そして、二人は巡回に戻った。
 
確かに最近の郁は胸にもやもやした不安を抱え、いつもの様に元気がいいとはお世辞にも言えない状態が続いていた。
そして、今日川島の顔を認識した事で、郁の抱えているもやもやは一層ひどいものになっていった。川島が感じのいい女性だった事も郁のもやもやした不安を大きくしている。
 
そしてそんな状況が暫く続いたある日。
 
その日、堂上は近隣の図書館で近く行われるイベントの警備に関する打ち合わせでその図書館に出掛けていた。
夕方近くに基地に帰り着き、庁舎へと向かっていると、丁度図書館から帰る所らしい川島と行き会った。
 
「堂上君。今日は外だったの?」
川島が柔らかく笑う。
「ああ。他館で打ち合わせがあってな。今帰りか?」
「そう」
「……毎日来てる、って話しを聞いたんだが。家が近所って訳でもないんだろ?なんでまた毎日……」
 
堂上は思い切って川島に尋ねてみた。
もちろん川島は何も問題がある行動をしている訳ではないし、特に堂上に迷惑が掛かっている様な事実もない。
だが、川島が毎日ここに通ってきていると知った時からずっと、堂上はなんだか座りの悪い、落ち着かない気持ちだった。
 
「私、今休職中で暇だし、ここは蔵書数も多いし楽しくて。……それに、堂上君に会えるかも、っていう期待もあるし」
後半の言葉を、川島は思い切った様に付け足した。
 
堂上は少し困った様な顔になる。
どう答えるのが適切かを考えながらゆっくり口を開く。
 
「もちろん、この図書館に来てくれるのは悪い事じゃないし、それは一向に問題ない。……だけど、俺は川島の事は同級生としか思えない。今迄もこれからも」
「……そっかあ。残念。堂上君まだ独身だ、って聞いたから、私にもチャンスあるかも、って思ったんだけどなあ。分かったわ。」
 
恐らく堂上に気を使わせない為だろう、川島は敢えて明るい調子で堂上に返事をする。
「……悪いな」
川島がわざと明るく返事をしてくれているのを理解した堂上が済まなさそうに言った。
 
川島は首を振ると、微笑みを作る。
「今日借りちゃったこの本、近所の図書館でも返却出来る?」
「ああ。大丈夫だ」
「良かった。実はここまで通うの結構大変だったのよね~。これからは大人しく近所の図書館に通うわ」
川島がおどけた様に笑う。
 
「じゃあ、また今度同窓会で、同級生として会えるの楽しみにしてるね」
「ああ、そうだな」
川島が手を振り、歩いて行く。
何歩か歩いた所でくるりと堂上を振り返った。
 
「堂上君、好きな人いるんでしょう?もう年なんだからモタモタしてたら駄目よ~!」
完全にからかう口調の川島に堂上も苦笑しながら「うるさい、余計なお世話だ」と軽口を返した。
川島は笑いながらもう一度手を振ると今度こそ堂上の前から去って行った。
 
郁が課業後、コンビニへ行こうと寮を出て歩いていると、途中のベンチに座っている女性を見かけた。
あ、川島さんだ……。
……ひょっとして堂上教官を待ってるのかな……?
先程、他館から戻った堂上は、早速机の書類に向かっていた。
おそらく残業になるだろう、と郁は思っていたが、もしかして、川島と約束でもしてるのだろうか?と勝手に想像してしまい、郁の胸は締め付けられる様に痛んだ。
 
足早に通り過ぎようとした郁だったが、川島の様子が少しおかしい事に気が付き、慌てて駆け寄る。
「あの、大丈夫ですか?具合でも悪いんですか?」
「ああ、いえ。大丈夫です。あら、あなた堂上君の……」
声を掛けられ、顔を上げた川島は郁の顔を認識した様だ。
この間堂上と一緒に巡回していた時に行き会ったので、郁の顔に覚えがあったのだろう。
「はい。堂上教官の部下です。本当に大丈夫ですか?堂上教官呼んできましょうか?」
顔色の悪い川島に郁が心配そうに尋ねる。
 
川島が微笑みながら、手を振る。
「本当に大丈夫だから。……ちょっと落ち込んでいただけなの」
「……何かあったんですか?」
「……さっきね、堂上君に振られちゃったの。……でも落ち込んでいたのは堂上君に振られたからじゃないんだけど」
「え……?」
 
「ええ、と?」
「あ、笠原です」
川島が郁の名前を尋ねたそうな素振りだったので、郁が答えた。
「笠原さん、今少しだけ時間あるかしら?」
「はい。大丈夫ですけど」
「じゃあ、少し私の話し聞いてくれる?」
「あ、はい」
 
郁は川島の隣に腰を下ろした。
そして、川島が静かに話し始める。
「あのね……、私、四ケ月位前に付き合っていた彼氏に振られたの。二年近く付き合っててね、私の方はそろそろ結婚したいなあ、と思っていたの。なのに、唐突に電話で別れを告げられて。しかも理由がはっきりしないの。もちろん私は納得出来なかった。でも、電話を切られて、掛け直しても出てくれなくて。次の日に掛けたら電話を解約したみたいで繋がらなくなってて。……彼の住んでたマンションにも行ってみたんだけど、もう引払った後だった」
 
淡々と話す川島だったが、郁は川島の受けただろう衝撃を思い、言葉を挟む事が出来なかった。
川島は話し続けた。
「私、もの凄いショックを受けて……。体調も崩しちゃって、仕事も休職する事になったの。暫くして体調は少しずつマシになったけど、精神的にはとても辛い状態が続いて。
でも、このままじゃいけない、なんとか浮上しなくちゃ、と思っていた所に同窓会のハガキが届いたの。ひょっとして、気持ちを浮上させるきっかけになるかもしれない、と思って出席する事にしたの。……そしたら、そこで堂上君に会って」
 
「私ね、高校の時、堂上君の事好きだったの。言えなかったけど。堂上君、相変わらずカッコよくて。すごく胸がときめいたの。で、堂上君まだ独身だ、って聞いたからひょっとして、私に振り向いてくれないかしら、と思っちゃって」
 
「堂上君の顔が見れるかも、って言うのも勿論だけど、本を読むのは元々好きだったから、ここでのんびり本を読んでるのも楽しかったし、ついつい毎日来ちゃって。堂上君には迷惑かけちゃったわ。一歩間違えればストーカーよね」
川島が自嘲交じりに笑う。
郁は慌ててぶんぶんと首を振る。川島はただ図書館を利用していただけだし、堂上にまとわりついて迷惑を掛けた事もない。ストーカー的な行為など全くなかった。
 
「でも、さっき、堂上君に同級生としか思えない、って言われて、やっと気付いたの。私は結局、前の彼の事全然忘れられてないんだ、って。そんな自分と向き合うのが辛くて、悲しくて、堂上君に逃げてたんだ、って事に」
 
「まあ、でも、もし本当に堂上君が私に振り向いてくれてたら、本当に前の彼の事忘れられたかもしれないけど。なんてったって、堂上君の方が断然いい男だし」
川島はそう言うと悪戯っぽく笑った。
 
「で、それに気が付いて、落ち込んでいたんだけど……、今笠原さんに話してみたらなんだかすっきりしてきたわ。話を聞いてくれてありがとう」
「いいえ、そんな。あたし、何も言えなくて……」
郁が申し訳なさそうな表情で首を振る。
確かに郁は殆ど口を挟まなかったが、とても真摯に話を聞いてくれていた事は川島にはよく分かった。
そして、殆ど見ず知らずの郁に、――見ず知らずだったからこそ話せたのかもしれないが――話した事で事実、川島は本当にすっきりした気分になっていた。
 
「笠原さんに話した事で私、とっても楽になったの。うん、もう大丈夫。ちゃんと自分の気持ちと向き合って、それからちゃんと前を向くわ。仕事にもそろそろ復帰しなくっちゃ!」
川島はそう笑顔で言った。
川島の顔色はさっきと比べてずっと良くなっていたし、何より川島の笑顔が作ったものではなく、本物の笑顔に見えたので、郁もようやく安堵した様に微笑んだ。
 
コンビニに行く、という郁と川島は一緒に基地を出た。コンビニの前で郁と別れた川島は駅へと向かう。
川島の心は軽くなっていた。
そして歩きながら、いくら上司の同級生とはいえ、見ず知らずの川島の話を真剣にきいてくれた郁の事を思う。
 
笠原さん、とってもいい子。可愛いし、スタイルもいいし。……堂上君の好きな子、ってひょっとして、あの子かしら?
うん、お似合いだわ。あれ?でも笠原さん、すごく背が高かった気がする。
堂上君より高いかも……。でもきっとそんなの関係ないわね。
巧くいくといいんだけど。
でも堂上君、って不器用な所あるから、大丈夫かしら?
……堂上君に余計なお世話だ、って怒られるわね。
 
川島は忍び笑いを漏らす。
そして、川島は顔を上げて、真っ直ぐに前を向いた。
 
 
 



いくままさまからはお題「同窓会」で、同窓会で再会、告白され、しつこくてあげくはストーカーに……時期はいつでも、との事でした。
なんか書いてる内にリクエスト内容からずれていっちゃって(汗)
いくままさま、すいません……!
「100000」のご報告とリクエスト、ありがとうございました!




  1. 2011/12/21(水) 07:00:00|
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