SS 「決定」

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今週も忙しそうです。
ブログの更新も滞りがちで申し訳ないです……。

暫くはこんな感じかもしれませんが、お許しを~!!

今日のSSは一周年記念リクエストの第四弾です。
kumakoさまより、リクエストして頂きました。
「決定」です。婚約期間中のお話です。

続きからどうぞ!


決定                    婚約期間
 
堂上と郁、お互いの両親との顔合わせは先日無事に終了した。
寿子がまた頑なな態度を取り、堂上の両親に不快な思いをさせたらどうしよう、と郁はかなり気を揉んでいたのだが、寿子もさすがに配慮してくれたのか、郁の心配は杞憂に終わった。
まだ心から祝福している、とは言えないのは郁から見たら丸わかりだったが、初対面の堂上の両親から見たらそうとは分からない程度には態度を取り繕ってくれていた。
もちろん克宏のフォローもあり、顔合わせの食事会は終始、和やかに穏やかに進んだ。
 
堂上の両親も郁の両親も、結婚式については二人の好きな様にすればいい、と言ってくれたし、克宏が抜かりなく、笠原家側の招待客のリストを作ってくれてきたので、これで一気に結婚準備も進みそうだ。
 
 
「そう言えば、衣装とかってもう決まったの?」
そう堂上に訊いたのは小牧だ。
事務室で休憩中の時だった。
 
両家の顔合わせが済んでから暫くが経っており、もう既に式場と日取りは決定していた。
「今度の公休に衣装合わせがある」
「あ、教官。その衣装合わせなんですけど、丁度柴崎も公休なんで、柴崎にもついて来てもらってもいいですか?」
口を挟んだのは郁だ。
本当は夜にでも堂上に相談しようと思っていたが、話が衣装の事になったので、丁度いい、とばかりに持ち出した。
 
「ああ。構わんぞ。確かに柴崎について来てもらった方がいいかもな」
堂上はおそらく郁が何を着ても可愛い、と思ってしまうだろう。
その点、柴崎なら郁に的確なアドバイスを与えてくれるに違いない。
 
と、そこに通りかかった進藤が口を挟んできた。
「お~、堂上、衣装合わせか?あれは男にはきついぞ~。男から見たら同じ様な衣装をとっかえひっかえ、何時間もだぞ!挙句感想を聞かれ適当に答えたら、怒られるし。悪い事は言わん、柴崎に任せておけ」
 
「……確かに男の人には退屈かもしれませんねえ。堂上教官、もしなんだったら、あたしと柴崎で行ってきましょうか?」
郁が進藤の言葉に少し考えこみ、堂上に尋ねた。
堂上の反応は激烈だった。
「冗談じゃない!俺は絶対行くぞ。お前が色んなドレスを着るんだろう?退屈なんかする訳がないだろっ!」
必死の形相で叫ぶ堂上を見て小牧が吹き出した。
「ど、堂上、必死過ぎ……!」
 
小牧に言われ、堂上がはっとした様に口を噤む。
堂上の余りの剣幕に一瞬呆然としていた進藤だったが、すぐにニヤニヤ笑いを始めた。
「そうか~。堂上は笠原のいろ~んなドレス姿が見たいんだな~!例えそれが何時間に及んだとしても全然構わない、ってか~。いやいや、退屈なんてする訳がない、とは恐れ入った!」
からかう気満々の口調の進藤に堂上は一瞬苦い顔をしたが、すぐに口を開く。
「ええ、その通りですとも!何か文句ありますか!?」
潔く開き直り、きっぱりと言い切った堂上に小牧がまた吹き出す。
 
堂上はもうこれ以上進藤や小牧を相手にしてられない、といった様子で郁に向き直り、改めて言う。
「俺は絶対ついて行くからな」
「は、はい!あたしもその方が嬉しいです」
はにかみながらも嬉しそうな表情の郁に堂上の顔が緩む。
「写真、撮ってもいいんだろう?お前カメラ持って来いよ」
 
二人の世界に入りつつある堂上と郁をやや呆れた様子で見ながら進藤が小牧をつつく。
「おい。見たか?今の堂上の顔!それにさっきのも……開き直るにも程があるんじゃねえか?」
「まあ、よっぽど嬉しいんでしょう。多少は大目に見てやって下さいよ」
小牧が笑いを堪えながら言う。
「まあ、なあ。ようやくお姫様が自分のものになるんだからなあ。長かったもんなー。まあ、浮かれもするか」
進藤が苦笑交じりに言う。
堂上がむきになる所が面白いのに、ああもあっさりと開き直られると、からかっても面白くない。
「面白くないけど、仕方ねえ。大目に見てやるか」
進藤は肩を竦めて笑った。
まあ、からかい甲斐はないが、あそこまで浮かれきった堂上というものもかなり珍しいので、それはそれで面白いか、と進藤は溜飲を下げた。
 
そして、次の公休日。
堂上と郁と柴崎の三人は衣装合わせに出掛けた。
今回は郁の衣装だけである。
 
堂上は郁が衣装を変える度、飽きる事無くカメラのシャッターを押しまくっていた。
柴崎が一緒なので、堂上としてはかなり抑えていたつもりだったのだが、柴崎には「堂上教官、顔が緩み過ぎです」と呆れられていた。
そして、何着か試着した中で郁と柴崎の意見が一致したドレスがあった。
予想はしていたが、堂上は郁がどのドレスを着ても可愛く見えた。
が、確かにそのドレスが一番郁に似合っている、とは堂上も思ったので、無事そのドレスに決定した。
 
手続きを終え、外に出るともう真っ暗になっていた。
「わあ、もうこんな時間!柴崎ごめんね~」
「折角の休日を悪かったな。一緒に飯でも食って帰るか?」
郁と堂上の言葉に柴崎はにっこりと笑い、首を振った。
 
「お気遣いなく。ついて行きたいと言い出したのはあたしですから。あたしも楽しかったです」
「ありがと!でも一緒に御飯食べに行こうよ~。もう暗いしさ、一人で帰るのも危ないよ」
郁の言葉に堂上も頷く。
「大丈夫。手塚呼んだから。後は二人で心おきなくいちゃついて下さい」
後半部分は主に堂上に向けて、柴崎が極上の笑顔で言う。
 
「な!いちゃつく、って」
郁が顔を赤くし、堂上も苦笑する。
と、そこへ呼び出された手塚がやって来た。
 
堂上に生真面目な顔で「お疲れ様です」と頭を下げる。
「悪いな、手塚」
堂上が財布を取り出した。
「これで二人で飯でも食って帰ってくれ」
手塚は固辞しようとしたが、柴崎が横から「ありがとうございます。では遠慮なく」と受け取った。
 
「で、堂上教官、外泊届出しておきましょうか?」
柴崎が小首を傾げて微笑みながら堂上に尋ねた。
 
何言ってんの?明日仕事だよ!
と郁が言う前に堂上が答えた。
「そうだな。出しておいてくれ」
「ええっ!?」
 
昨日は堂上も残業だったし、今日柴崎と一緒に出掛ける事になっていた事もあり、外泊はなしだった。
そして、今日郁の可愛いドレス姿を散々見せられた堂上はもう我慢の限界だった。
まだ狼狽えている郁の腕を掴む。
「お前らも気を付けて帰れよ」
柴崎と手塚にそう声を掛け、「さあ、行くぞ」と郁を引っ張って行った。
 
 
そして、そんな衣装合わせが終わってから暫く経ち、堂上と郁は頭を悩ませていた。
式場と日取りも決まり、郁の衣装も決まった。
次に決めるのは招待客だ。
堂上家、笠原家双方からは招待して欲しい親戚のリストはもうもらってあるので、そちらは問題ない。
堂上、郁の友人や同期のリストアップも問題なく進んだ。
残るは特殊部隊のメンバーである。
 
「どうしたもんか……。隊長と副隊長、小牧と手塚は当然外せないとして、後をどうするか……」
「全員呼べるものなら呼びたいですけど……」
郁も困った顔になる。
 
そう、呼べるものなら特殊部隊全員を招待したい。
が、全員を招待するとその日一日図書隊に特殊部隊が全員いない、という事態になってしまう。
それはいくらなんでもマズイだろう。
が、誰を呼んで誰を呼ばないのか、それはかなり難しい問題だ。
 
特殊部隊全員が郁を可愛がっているのは疑いようのない事実だし、堂上はあまり認めたくない所ではあるが(堂上に言わせると、いい様に使われ、いい様に遊ばれているだけじゃないか、となる)堂上も特殊部隊全員に可愛がられているのは間違いない。
今回の堂上と郁の結婚を特殊部隊全員がとても喜び、祝福してくれているのは堂上も郁もよく分かっていた。
だからこそ悩ましい問題だった。
 
「……隊長に相談してみるか」
「そうですね」
玄田には日取りが決まった時点で報告はしているが、細かい話はまだしていない。
実際の所、何人位がその日休暇を取る事が可能なのか、玄田に確認しなくてはならない。
 
堂上と郁がそんな話をしてから数日後、課業後、事務室に玄田の声が鳴り響いた。
「おい、ちょっと集まれ!!」
 
今日は公休の班も夜勤の班もいないので、ほぼ全員が揃っている。
集まって来た面々を眺め回した後、玄田が大きな声を出した。
「堂上と笠原の結婚式の日取りが決まった!!」
まだ正式には日取りを聞いていなかった隊員達から「おおっ~」とか「いよいよだな~!!」という声が口々にあがった。
 
「堂上と笠原としては特殊部隊全員を招待したい気持ちはある。が、全員を招待すれば、その日は図書隊に特殊部隊が誰一人いない、という状況に陥る。現実問題、それはまずいし、上の許可も下りないだろう」
玄田がそこまで言って言葉を切る。
至極尤もな話なので、みんな頷きながら聞いている。
 
そして、玄田がニヤリと笑い、口を開く。
「そこで、だ。その日は2班だけ出勤とする。2班以外は全員堂上と笠原の結婚式に出席だ。ちなみに俺と緒形、小牧と手塚の出席は確定だ。そして、今からその運の悪い2班をじゃんけんで決める!堂上以外の班長は前に出て来い!」
玄田の宣言に事務室内が騒然となる。
腕まくりをする班長達、その班長に檄を飛ばす隊員達。
 
一気に熱を帯びた事務室の中で呆然としているのは堂上と郁だ。
「……招待客をじゃんけんで決めるなんて聞いた事ないぞ……」
堂上の言葉に郁がコクコクと頷く。
 
先日、玄田に相談した所、玄田は「そうか、分かった!俺に任せておけ!」と胸を叩いていたが、まさかじゃんけんとは……!
眉間を押さえて沈痛な顔をしていた堂上の肩を小牧が叩いた。
「まあ、いいじゃないか、特殊部隊らしくてさ。それに面白がってる事は否定しないけど、これも隊長なりの気遣いなんじゃないか?実際、お前出席出来ないメンバーを決めるのなんてきついだろ?」
「それは、確かにそうだが……」
 
確かにとても決める事は出来そうになかったからこそ、玄田に相談した訳だが、その結果がまさかじゃんけんになるとは、さすがの堂上も想像出来なかった。
が、早速始まっているじゃんけん戦に真剣な顔つきで挑んでいる班長達。
そして、それを必死に応援している隊員達を見て、堂上と郁の顔が緩んでくる。
堂上と郁が顔を見合わせ、微笑み合う。
 
……俺達は幸せだな。
……本当に。
 
その後、30分に渡り、特殊部隊事務室には歓声と悲鳴が鳴り響いたという。
 
 

 


kumakoさまより頂いたリクエストは……
以前にアップした「報告」の後の結婚式準備期間のお話、『公に婚約を発表して幸せオーラダダ漏れな、甘~い堂上さん』がみたいです!
……との事でした。

「報告」の続きは書きたいなあ、と思っていたので、楽しく書けました♪
kumakoさま、リクエストして頂いてありがとうございました!!


  1. 2011/12/06(火) 07:54:02|
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