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SS 「朝陽」

ご訪問ありがとうございます!

昨日はポッキー&プリッツの日でしたね。
長い事ポッキーなんて食べてないなあ。

今日のSSは一周年記念リクエストの第二弾です。
まるあさまよりリクエストして頂きました。

「朝陽」です。
続きからどうぞ!


朝陽                      恋人期間
 
「郁、来週の公休だけどな、連休になった」
堂上が思い出した様にそう言ったのは、夜の呼び出しの時。
いつもの場所でもう既に長いキスをし終わった時だった。
「え?そうなんですか?」
郁がキスのせいでまだ上気している顔で訊き返す。
 
「ああ。今日帰りに副隊長に言われた。来月のシフトの都合でな。折角だからちょっと遠出するか?まあ一泊しか出来ないが」
降って湧いた様な連休だが、どうせなら有効に活用したい。
「ホントですか!?」
堂上の提案に郁が瞳を輝かせる。
郁の嬉しそうな表情を見て堂上の顔も緩む。
 
「ああ。まあ、急だから宿取れるかどうか分からんが。どこか行きたい所あるか?」
「う~ん、そうですね……」
郁がしばし考え込む。
そして、郁がぱっと顔を上げた。
 
「海辺はどうですか?海水浴シーズンじゃないし、宿も取れるんじゃ?」
「海か……。いいかもな」
 
確かにシーズン外れなので、海辺のリゾートホテルなどなら宿も取れやすいだろう。
海岸をのんびり郁と散歩するのも悪くないかもしれない。
というか堂上は郁が喜ぶのなら、別に場所がどこでも一向に構わない。
 
「じゃあ、海辺にするか。場所の希望は?」
「どこでもいいです!」
郁は笑顔でそう言った後、「教官と一緒なら」と恥ずかしそうに小さい声で付け足した。
 
「……あんまり可愛い事言うな」
堂上はそう言うと、郁にまた深く口づけた。
 
そうして、連休の日がやってきた。
目論見通り、海辺のリゾートホテルの予約が取れた。
堂上の実家から車を借りようかとも思ったが、返しに行く手間を考え、レンタカーにした。
レンタカーは堂上が先に寮を出て借りに行き、郁を迎えに寮迄戻って来てくれていた。
 
郁の荷物を載せ、車に乗り込み、出発した。
2~3時間もすれば、到着するらしい。
 
堂上が事前に色々調べてきてくれたので、二人で相談し、見て回る所はもう決めてある。
昼食を食べる店も決まっているほどだ。
ホテルのチェックインは三時なので、その時間にはチェックインし、のんびりと海岸を散歩する事になっている。
 
堂上の運転で車は順調に目的地へ向かっている。
郁が適当にラジオのチャンネルを動かしていると、聞き覚えのある曲が流れてきた。
「あ!この曲!!」
「ん?」
「懐かしい~!この曲、すごく昔の曲みたいなんですけど、大学時代、寮で同室だった子が好きでよく聴いてて、あたしも好きになったんです」
「そうか」
そう言いながら堂上も曲に耳を傾ける。
途中から聴きはじめたので、すぐに終わってしまった。
 
「今の、明日見れるんじゃないか?」
「へ?」
「水平線から昇る朝陽」
堂上が言ったのは曲のサビの部分だろう。
「ああっ!ホントですねっ!」
郁が興奮した様に叫ぶ。
今日泊まるのは海辺に建つリゾートホテルだ。ホテルの目の前が海岸の筈だ。
「あたし、水平線から昇る朝陽って見た事なくて!一度見たいと思ってたんです!!」
「じゃあ、明日早起きするか」
「はいっ!!」
郁は満面の笑みで頷いた。
 
そして、ほぼ予定していた時刻に目的地に到着し、堂上と郁は予定していた通りに色々見て回った。
郁が目を輝かせたオルゴールやガラス細工などを堂上が郁に買い、郁は堂上に散財させた事に恐縮しながらもとても喜んでいた。
 
チェックイン出来る時刻になったので、ホテルに向かう。
部屋に入った郁が歓声を上げる。
とても広くて、快適そうな部屋だ。
そして、大きく取られた窓からは海が一望出来る。
 
「うわあ、凄くいい眺めですね!」
「ホントだな」
 
用意してあったお茶を淹れ、一息ついて、荷物を整理する。
「海岸、歩きに行くか?」
「はい!あ、でも教官疲れてませんか?ずっと運転してもらってたし」
「大丈夫だ。問題ない」
堂上が笑う。実際、疲れなど少しも感じていなかった。
車で遠出するなど結構久し振りだったが、郁の嬉しそうな顔を見ているだけで運転の疲れなどどこかへ吹き飛んでしまう。
 
そして、真夜中もとっくに過ぎた頃。
「郁、郁」
堂上が郁の頭を撫でながら、声を掛ける。
「ん~」
郁はまだ夢の中の様だ。
「郁~、ほら、起きろ。朝陽観に行くんだろ?」
郁の髪の毛を優しく掻き混ぜながら、堂上がさっきよりもやや大きい声で言った。
 
「う~、はい……」
まだ半分寝ぼけ眼だが、“朝陽”という言葉に反応した郁が何とかもぞもぞと起き上がった。
「早くしないと、朝陽昇ってしまうぞ」
見ると、堂上は既に着替えを済ませている。
漸く意識が覚醒してきた郁は自分が何も身につけていないのに気付き、危うく悲鳴を上げそうになった。
慌てて、布団を胸元まで引っ張り上げる。
 
「ふ、服を着るので、教官、あっち向いてて下さい!」
堂上は既に着替えが終わっている状態だ。下着を付けたり、服を着るのをじいっと見られているのは恥ずかしい。
「わかった、わかった」
堂上は苦笑しながら、郁の反対方向にくるりと身を返した。
そして、まだ暗い海岸へとやって来た。
もちろん、抜かりのない堂上の事、ちゃんと懐中電灯も用意してあった。
 
日の出の時刻もいつの間にか調べていて、それに合わせて郁を起こしてくれたらしい。
堂上が懐中電灯で足元を照らしながら、郁の手を引き、海岸をゆっくりと進む。
 
「ここらへんでいいだろう」
堂上がそう言って、止まった。
そして、そこに二人並んで腰を下ろす。
堂上が懐中電灯のスイッチを切る。まだ暗いがもう真っ暗という訳ではない。
まだ太陽の姿は見えないが、少しずつ空が青い色になりつつある。
 
「まだ、太陽出てないのにこんなに明るくなってくるんですね!」
「もう夜明けだな。朝陽が登るまでは後15分位かな」
「えっ?朝陽が出てからが夜明けじゃないんですか?」
「ああ。朝陽が昇るのは日の出だ。日の出前でも明るくなって来てるだろ?もうこの状態で、夜明けだ。確か、天文学的には色々定義があったと思うが、俺もそんなに詳しく覚えてない」
「へえ~」
日の出イコール夜明けだと思っていた郁は素直に感心する。
 
「郁。昨日のあの曲、最初から歌ってくれないか?」
「え?」
「途中からしか聴いてないからな。最初から聴きたい」
 
恥ずかしいし、ちゃんと歌詞を覚えているかも不安だったが、歌いだしてみたら、自然に歌が口をついて出た。
郁の歌声を堂上が静かに聴いている。
 
「……いい曲だな」
郁が歌い終わってから、堂上が微笑んだ。
「原曲はもっといいですよ!今度探しますね」
郁もCDを持っていた筈だ。探せばまだ持っているかもしれない。
「いや、いい。また今度お前が歌ってくれ。その方がいい」
堂上は真顔なので、どうやら冗談で言ってるのではなさそうだ。
「はい」
郁は照れくささと嬉しさが微妙に混じった顔で頷いた。
 
「郁、あの空の色、あれを瑠璃色、っていうんじゃないか?」
堂上が大分明るくなってきた空を指差しながら言った。
郁が堂上の指差した辺りの空の色を見る。
ああ、本当だ。瑠璃色だ。
「本当ですね。瑠璃色の空!」
 
「郁。朝陽が昇る」
堂上に言われ、郁が空から水平線へ視線を移す。
水平線から太陽が顔を覗かせ始めていた。
堂上と郁は声もなく、その光景を見つめた。
少しずつゆっくりと太陽が姿を現し始める。
 
――まさに歌詞にある通り、朝陽が水平線から光の矢を放っていた。
そして、その光の矢が堂上と郁を包んでゆく――
 
そのあまりにも美しく厳かな光景に堂上と郁は言葉も出ない。
 
“私たちの星を守りたい”
 
その歌に出て来るフレーズ。
この光景を見ていると確かにそんな感情が自然に心から湧き上がってくる。
郁の瞳に涙が滲む。
 
この星を守る、そんな大きな事はきっとあたしには出来ない。
でもこれからもずっと、少しでも多くの本を守って行きたい。
堂上の隣で、堂上と一緒に。
 
郁が繋いでいる手にぎゅっ、と力を込めた。
堂上も握り返して、そして、郁を引き寄せ、抱き締める。
そして、唇が合わさる。
 
二人並んで、手を繋ぎ、肩を寄せ合って見た、この朝陽の事を、そしてその光に包まれながら交わしたキスを、きっと一生忘れない。
 
 
 



まるあさまよりリクエストして頂いたのは「瑠璃色の地球」にちなんだもの!
内容はお任せします、との事でしたので、私が一番印象に残っているサビのフレーズ、『朝陽が~』をイメージして書かせて頂きました。
松田聖子さんが原曲ですが、色んな方がカバーされているので、ご存じの方も多いかと思います。
イメージ壊しちゃってたらごめんなさい……!
ちなみに私は中森明菜さんバージョンが好きです。

まるあさま、リクエストして頂いてありがとうございました!!
楽しく書かせて頂きました!




  1. 2011/11/12(土) 07:00:00|
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