SS 「続・I LOVE YOU」

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日曜日ですね!
お天気の方はいまひとつの様ですが。

SS「続・I LOVE YOU」です。
タイトル通り、この間アップしたI LOVE YOUの続編みたいなものです。
ちゃんとタイトル考えろよ!という気もしますが(笑)
まあ、分かり易いし、いいよね、という事で。
「I LOVE YOU」をお読みでない方は先にそちらを読んで頂いた方がいいと思います。

続きからどうぞ!



続・I LOVE YOU              恋人期間
 
寮へ帰る道を堂上と郁は手を繋いで歩いていた。
公休前日の昨日の夜から出掛け、外泊し、昼前までホテルでゆっくりと過ごし、朝昼兼用のランチを食べ、映画を見てから、街をぶらぶらとし、書店や気になった店を覗いたりしてから、夕食を食べて、今帰路についている。
 
近くの公園にさしかかった時、「寄って行くか?」と堂上が郁に声を掛けた。
郁が嬉しそうに頷く。
昨日の夜からずっと一緒に居るのに、まだ離れるのが淋しい。
もっとずっと一緒に居たい。
多分お互いが同じように思っている。
 
公園に入り、いつも座るベンチに二人並んで腰かける。
郁がふと空を見上げると、とても綺麗な満月だった。
ああ、綺麗な月……。
 
そう思った時、ふとある出来事が郁の頭をよぎった。
「堂上教官」
「ん、何だ?」
「……月が綺麗ですね」
郁は月を見上げたまま言った。
 
堂上は吃驚した様に目を見開いた。
そして、その顔が微笑みに変わる。
「ああ。俺もだ」
堂上のその返答に郁が驚いた様に堂上の方を見る。
月が綺麗ですね、郁の言った言葉をそのままの意味に捉えるとしたら、その返答はちょっとおかしい。
 
「!教官、やっぱり知って……、じゃあ、あの時……、い、いえ、何でもないです、覚えてないですよね!」
 
あれはもう、一年以上も前、二人が付き合いだすよりも前の出来事だ。
きっと、覚えてないだろう。
郁は勝手にそう決めつけ、話をたたもうとしたが、堂上はあっさりと答えた。
 
「覚えてるぞ。コンビニの帰り道だろ。コンビニで偶然会ったんだったな」
「お、覚えてるんですか?……じゃあ、あの時言ったの、って……?」
「ああ。……そういう意味で言った。まあ、正直お前が意味分かるとは思ってなかったけどな。お前も知ってたんだな?」
 
何気に失礼な言い草な様な気もするが、普段の郁の知識量を考えると文句は言えない。
「……知ってました。高校の時、国語の先生から聞いたんです。すごく印象に残ってたから覚えてたんです」
あたしもいつかそんな事を言われてみたい!と憧れていた事は恥ずかしくて言えない。
 
「そうだったのか」
「……あたし、すごく悩んだんですよ!あたしでも知ってるのに、教官が知らない訳ない、でも教官がそんな事あたしに言う筈ないし、でももしかしたら?ってホントにしばらくずっと悩んだんですから!」
 
「そうか、それは悪かった。……あの時は、当麻先生の事件の真っ最中だったからなあ。今は言えない、って思ってたし、俺も色々辛かったんだ」
堂上は当時の心境を思いだし、しみじみと言った。
 
ん?郁は、堂上が言った『今は言えない』という言葉が引っ掛かった。
「……ちょっと、待って下さい。ひょっとして教官って自分から言ってくれる気、ってあったんですか?」
 
「ん、あったぞ。本当はアレだ、カミツレのお茶に行った時な、あの日言おうと思ってた。でもまあ途中で呼び戻されて、しかもあんな大事件になったしな。この案件に片が付くまでは言えないと思ってた」
堂上があっさりと認めた。
 
「そうだったんですか……!」
 
堂上がそんな風に考えていただなんて全く知らなかった。
じゃあ、もしあの日、あの事件が起こらなかったら……!
正直言って嬉しい。嬉しいのは嬉しい。だけど……。
 
「あ~、なんか損した気分~」
郁が、がっくりと頭を垂れた。
「損、って何だ、損、って。損も得もないだろ。どっちから言ったとしても結果は同じだったんじゃないのか?」
堂上が笑いながら言う。
 
「そりゃそうですけど~。でも堂上教官の方から告白とか、ってされてみたかったなあ~!」
「仕方ないだろ。お前が先に宣言したんだから」
堂上がしれっと笑う。
 
「じゃあ、あの時あの本屋さんで、もしあたしがあんな事言ってなかったら、教官の方から言ってくれてたんですか……?」
郁が上目づかいで堂上を窺う。
「いや。あんな事言うだけじゃなく、あんな事されたからな。どうだろうな?」
堂上が意地悪くニヤリと笑う。
 
「う」
重傷を負った堂上の襟首を掴んで唇を合わせた。
その暴挙を思い出し、郁の顔が一瞬で赤くなる。
 
「でも、まあ、俺がその時に言った『月が綺麗だな』っていうのにその意味を含ませてたのは確かだから、俺の方が先に告白した、って事にしておけ」
堂上がそう言いながら、郁の頭をポンと叩く。
 
なんだかいなされている様な気がしなくもない。
でも、どっちが先に言ったのか、なんていうのは確かにどっちでもいい問題だ。
大事なのはお互いの気持ちなんだから……。
カミツレのお茶に行ったあの日。
もうあの時は既にお互いにそういう気持ちだったんだ、と思うと顔が自然に緩んでくる。
 
「……そう言えば、その時、お前は『あたしもそう思います』って答えてたな。あれは、そういう意味含んでたのか?」
堂上がふと思い出した様に郁に訊いた。
 
「……一生懸命考えたんですよ!ただ単に月が綺麗だ、ってそのままの意味でもおかしくない様に、でも万が一そういう意味だったら、と思って……!」
そう。有り得ない、とは思ったが、もし万が一堂上がそういう意味で言っていたとしたのなら、自分の気持ちもちゃんと言葉にのせたかった。
半ばパニックに陥りながらも必死で考え、答えた事を郁は思い出す。
 
「そうか、よく考えたな。満点の答えだ」
堂上はそう言うと、突然郁を強く抱き締めた。
そして、唇を合わせる。
 
一瞬、唇を離し、殆ど重ねたままの状態で堂上が囁く。
「あの時も本当はこうしたくて堪らなかった」
そして、更に深く口づけた。
郁も堂上の背中に腕を回した。
 
綺麗な満月が二人を照らしていた。
 
 
 
 
  1. 2011/11/06(日) 07:00:00|
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  1. 2011/11/07(月) 00:18:49 |
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