SS 「キーホルダー」

ご訪問、ありがとうございます!

やっぱり、暑さぶり返しましたね(汗)
暑かった。
でも、まあ、ピーク時に比べたら大分マシですが。

SS「キーホルダー」です。上官・部下です。
王子様発覚前です。
糖度は全くないと思われます(笑)

続きからどうぞ!



キーホルダー                上官・部下
 
館内警備中、郁が廊下に落し物があるのを見つけた。
「教官、落し物みたいです」
郁がバディの堂上の声を掛けながら、拾い上げた。
 
「鍵、ですね」
郁が確認する様に呟き、堂上にも見せる。
鍵はクローバーをモチーフにしたキーホルダーに付けられていた。
郁はそのキーホルダーに目を奪われた。
「わあ!すごい、可愛いキーホルダー!!」
 
「閲覧室のカウンターに預ければいいだろう」
丁度、今から向かうのは閲覧室の方向である。
「はい、そうですね!」
郁はハンカチを取り出し、鍵とキーホルダーをそっと包んだ。
 
閲覧室のカウンターに行き、事情を話し、鍵とキーホルダーを預ける。
忘れ物箱も設置してあるが、鍵は当然貴重品扱いとなり、カウンターで預かる事になる。
堂上と郁がカウンターを離れようとした時、血相を変えた女の子が飛び込んできた。
 
「あのっ!キーホルダーを落としたみたいなんですけどっ!!どこで落としたかは分からないんですけど、届いてませんかっ!?」
高校生位だろうか。もう半分涙目になっている。
先程、郁がキーホルダーを預けた館員がにっこり笑う。
「どの様なキーホルダーですか?」
鍵に名前が書いてある訳ではないので、本人の物かどうか確認する為キーホルダーの形状を質問しているのだろう。
 
「グリーンのガラス製のクローバーのキーホルダーなんですけど!!」
女の子は見ている方が可哀想になる位、必死の形相だ。
「届いていますよ。これですね?」
館員が取り出したキーホルダーを見て、女の子が崩れ落ちそうになる。
「良かったあ~」
余程大事な物なのか、その女子高生は安堵の涙を浮かべながら、キーホルダーを受け取った。
 
「あの二人が届けてくれたのよ」
なんとなく成り行きが気に掛かり、カウンターの近くに居たままだった堂上と郁の方を示しながら、館員が言うのが堂上と郁にも聴こえた。
 
その女子高生は、館員に大きく頭を下げて礼を言った後、堂上と郁の方にやって来た。
「あのっ、このキーホルダー、拾って下さったみたいで!本当にありがとうございましたっ!!凄く凄く大事なキーホルダーなんです!!」
堂上は女子高生のあまりの勢いに、少し体を引きつつ、曖昧な笑顔を浮かべる。
郁はにっこり、嬉しそうに笑う。
「良かったね!とっても素敵なキーホルダーだもんね。もう落とさない様にね」
「はいっ!!」
女子高生はもう一度大きく頭を下げながらお礼を言い、帰って行った。
 
堂上と郁も館内警備に戻る。
「今の……。ちょっとおかしくないか?何で主がキーホルダーなんだ?どう考えても大事なのは鍵の方なんじゃないのか?」
堂上が首を捻りながら言ったので、郁は心の底から呆れ返る。
 
「教官、さっきの様子見てて分かんなかったんですか!?凄く大事なキーホルダーだったんですよ!きっと彼氏からのプレゼントですよ」
郁が鼻息も荒く答える。
「……成程。だが、失くして困るのはどう考えても鍵の方だろう?」
鍵なんか失くした日には、家には入れないし、もし誰かが拾って、悪用されたら、という心配もしなければならない。
「そりゃ、鍵失くしたら困りますけど……。でも、あの子にとっては鍵失くすよりも重大な事だったんですよ!」
「そんなもんなのか?」
「当たり前じゃないですか!」
心の底から納得出来た訳ではないが、堂上も一応、納得する。
 
郁が幾分うっとりとした様な口調になる。
「きっと、アレですよ。この間のバレンタインであの子が告白して、OK貰って、そんで付き合い始めて、で、ホワイトデーにあのキーホルダープレゼントしてもらったんですよ!あ~、いいなあ~!」
今度は堂上が呆れかえった顔になる。
「お前、よくそこ迄勝手に想像出来るな。というか想像じゃなくて妄想だろ、それは」
 
郁はムッとして、言い返す。
「妄想なんかじゃありません。きっとそうなんです!」
 
まあ、さすがにバレンタインに告白して、ホワイトデーのプレゼント、というのは郁の妄想かもしれないが、あのキーホルダーが彼氏からのプレゼント、というのは絶対間違いない、と郁は確信していた。
 
「下らん妄想なんかしてる暇があるんだったら、もっと仕事の事でも考えたらどうだ」
呆れた口調の堂上に郁は更にむうっと頬を膨らます。
 
「もうっ!そんなんだから、朴念仁、って言われるんですよ!!」
「言われる、って何だ!?朴念仁、なんてお前以外には言われた事なんざないわ!」
郁に言われた事は覚えている。小牧が連行された事件の時だ。ついでにオジサン、と言われた事もセットで思い出してしまい、堂上の機嫌は悪化した。
 
「し、柴崎も言ってましたよ!」
郁が幾分怯みつつも反撃を試みる。
「上官に向かってそんな失礼な事を堂々と言うのはお前等位だ!このアホウ!!」
堂上は郁を思いっきり怒鳴りつけると、前を向いて、さっさと歩き出した。
 
さすがに自分の方が分が悪い、と思った郁が首を竦め、慌てて、堂上を追いかける。
 
この時の堂上と郁は、そう遠くない未来、二人がお揃いの色違いのキーホルダーに同じ家の鍵を付ける事になるとは、想像する事すら出来なかった。
 
 
 
  1. 2011/09/12(月) 07:00:00|
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