SS 「作戦会議」

ご訪問ありがとうございます。

昨日はコミックス8巻の発売日でしたね!
結局書店で購入しました。
家を出る前に何度も何度も本誌に載ったカラーを見て、免疫つけていったつもりなんですけど……。
必死で抑えましたが、自分でも顔がにやけているのが分かりました……。直視はしない様に気をつけてたんですけどね……。実物はやっぱりインパクトあります!!
多分、もの凄く不気味な人に見えたと思います(笑)

コミックス派の方で書店で表紙初見だった方、大丈夫だったでしょうか?
奇声をあげたり、床ローリングしたり、鼻血出たりとか(笑)心配です。

SS「作戦会議」です。折口さんと加代子さんです。
堂郁はまったく出てきません。

この間、SSの更新の時は朝7時です、と言ったばかりなんで、気が引けますが、予約失敗してました(汗)
今日、更新するつもりだったので、時間はずれましたが、更新します。
続きからどうぞ!





作戦会議              折口さんと加代子さん
 
仕事とは関係なくプライベートでお話したい事がある、と折口の元にこの間インタビューした作家の竹内加代子から連絡が入ったのは三日前の事だった。
 
「折口さん、すいません。お忙しいのに時間を作って頂いて」
加代子が恐縮した様に頭を下げた。
「いいえ。とんでもない。私の方こそ竹内先生とはぜひもっとゆっくりお話ししたいと思っていましたから」
折口は笑って答える。
これは社交辞令ではなく、折口の本心だった。
 
折口が指定した店は洋風居酒屋の様な感じで、食べ物も飲み物のメニューも充実していた。
二人で相談しながら、注文するメニューを決め、しばらくは飲食しつつ、軽い雑談を交わす。
 
「あの。折口さん。新世相、って、よく図書隊関連の記事載せられてますよね。記事を担当されているの、折口さんだ、ってお聞きしたのですが」
加代子がそう切り出したのは、30分程経った頃だろうか。
 
「ええ。そうですよ」
「じゃあ、折口さん。図書隊に知り合いの方、っていらっしゃいますか?」
「ええ。いますよ。図書隊がどうかしたんですか?」
折口が首を傾げる。
加代子は恥じらう様に少し頬を染めた。
「ええ。あの……。この間のインタビューの話し、覚えてらっしゃいますか?」
「もちろんです」
折口にとっても印象深いインタビューだった。
 
「彼に会いに行ってみようかな、って」
「じゃあ、もしかして図書隊にその彼が!?」
「はい。毎月の彼の給与は関東図書隊から振り込まれています。でも、彼がどの部署にいるのか、私には調べる事が出来なくて」
 
「図書隊に……。そうですか。分かりました。彼がどの部署にいるのか調べたいんですね。それだったらご協力出来ると思います」
加代子がホッとした様に微笑んだ。
「ありがとうございます」
「いいえ。竹内先生がご決心なさって私もなんだか嬉しいんです。彼のお名前を教えて頂けますか?」
 
「はい。彼の名前は……緒形明也です」
加代子が折口の瞳を真っ直ぐに見つめながら言った。
 
「え……!?すいません、もう一度お願いします」
「緒形明也です」
「!……緒形君なんですか!?」
「折口さん、彼の事ご存じなんですか!?」
「ご存じも何も!私の図書隊の知り合いは図書特殊部隊の隊長をやっているのですが、緒形君はその右腕で、副隊長です!」
 
まさか、緒形君だっただなんて!
折口は驚きで少し動揺する。
緒形が良化隊員だった、という事は、玄田から聞いた記憶がある。
公務員試験に受かって配属されたのが良化隊だった、という話だった。
だが、良化隊を辞めて図書隊に入った理由などまでは聞いていない。
だが、その理由がうっすらと理解出来た様な気がする。
 
加代子も驚いていた。
特殊部隊の副隊長。
特殊部隊と言えば、図書隊の精鋭を集めた部隊の筈だ。その副隊長をやっているなんて。
緒形の過去を考えれば、想像も出来ないポジションだ。
……頑張ったのね、明也。
 
緒形がいつの間にか法務省を辞めて、実家からも勘当状態になっている、と風の噂で聞いたのは最後に会ってから半年程経った頃だった。
胸が痛んだ。
でも、どうしようもなかった。
緒形は大学時代の知人とは一切連絡を絶ったらしく、それ以降は何の消息も分からなかった。
緒形の口座に関東図書隊から給与が振り込まれているのに気が付いたのはそれから更に半年後の事だった。
そして、それからも長い長い年月が経った。
追憶に浸りそうになった加代子の思考を折口の問い掛けが引き戻した。
 
「緒形君が良化隊員だった、という話は聞いたことがあります。……別れはそれが原因だったのですか?」
「ええ、そうです」
加代子は頷くと、折口に別れの経緯を静かに話し始めた。
 
「そうだったんですか……」
聞き終えた折口は静かに息を吐いた。
お互い好きなのに、その時は別れるしかなかった。
その事は折口には分かり過ぎる位に、よく分かった。
 
ふと、もう何年も前の事を思い出した。
訪ねて行った玄田が不在で、玄田を待つ間、折口と緒形と進藤で雑談をしていた。
話しの流れまでは忘れてしまったが、折口が緒形に何の気なしに問いかけた。
「そう言えば、緒形君は結婚しないの?」
緒形は苦笑しながら「相手がいませんので」と答えていたが、進藤が横から口を挟んだ。
「あ~、ダメっすよ、こいつは。昔の彼女がずうっと忘れられないんですよ」
「あら。緒形君に彼女が居たなんて話、初めて聞いたわ」
「……昔の事です。図書隊に入る前の事ですから」
「本当に随分昔の話しね~」
「そうでしょ、もういい加減に引き摺るのは止めた方がいいと思うんですがね」
「……別に引き摺ってる訳じゃない」
緒形が苦笑した所に、玄田が帰ってきて話はそこで途絶えてしまった。
 
それ以降も緒形に恋人が出来た、という話は聞いた事がない。
恐らくは緒形も加代子以上に“心の振れる”相手に出会わなかったのだろう。
折口は加代子に今思い出した話をしようと思ったが、止めた。
それは緒形と加代子が会った時にお互いにすればいい話しだ。
 
「折口さん?」
黙り込んで、考え込んでいる折口を加代子が不思議そうに見る。
「あ、すいません。竹内先生、是非、緒形君に会って下さい。どうします?携帯の番号も知ってますけど、教えましょうか?それとも私がセッティングしましょうか?」
「……いえ。直接、いきなり会いに行こうかと思います」
加代子が少し考えた後、答えた。
そうして、悪戯っぽく笑った。
「そうすれば、逃げられないでしょ?」
 
折口もニヤリと笑った。
「奇襲作戦ですね。わかりました。では、近い内に特殊部隊に顔をだして、緒形君の勤務のシフト、確認して来ます」
「ありがとうございます。助かります」
加代子が頭を下げた。
 
玄田には加代子のインタビューの掲載された新世相を送っておこう。
玄田がどこまで緒形の事情を知っているかは分からないが、おそらく緒形の性格からして、加代子の名前は明かしてない筈だ。
何の為に折口が雑誌を送ってきたのか分からず、玄田は首を捻るだろうが、加代子が奇襲作戦を決行した時に気が付くだろう。
そして、何らかの後押しをしてくれる筈だ。
 
遠く離れていた緒形と加代子の糸。
その糸が再び縒り合わせられる事を、折口は静かに、そして強く祈った。
 
そして、その日から十日後、奇襲作戦は決行された。
 
 
 



折口さんと加代子さんの会話は書きたいなあ、とずっと前から思ってたんですけど、なかなか書く時がなくて。
でもこの前別冊Ⅱの文庫読んで。
それと、ついこの前私誕生日だったんですよ。で、不惑になったんです。(こんなんで40歳でいいのだろうか!?と激しく不安ですが・笑)
ああ、私も不惑かあ、と思ったら、なんか急に書きたくなっちゃって。

堂郁でもないし、なんか中途半端だし、どうしようかな~とは思ったんですが、アップしちゃいます。





 
  1. 2011/09/06(火) 07:59:20|
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