SS 「雨のカーテン」

ご訪問ありがとうございます。

ここの所、色々重なって、とても忙しかったです(涙)
パソコンもロクに触れず、「別冊Ⅱ」もまだ買いに行けてない……。

昨日の午後は、やっと少し時間が取れて、SS書く事が出来ました。

「雨のカーテン」です。恋人期間で、みじかめです。
続きからどうぞ!



 雨のカーテン                 恋人期間
 
さっきまで、青い空が覗いていたのに、あっという間に真っ黒い雲に覆われた。
ポツポツと雨がボンネットに当たる音がした、と思った途端に、激しい雨が降り出した。
 
「凄い雨になりましたね。教官、大丈夫ですか?」
助手席に座っている郁は幾分不安そうに車を運転している堂上に声を掛けた。
 
今日、堂上と郁は近隣の図書館で行われるイベントの警備の手伝いに駆り出されていた。
イベントは無事に終了し、基地に戻る途中だった。
 
「酷い雨だ。前もロクに見えん。雨がマシになるまで止まった方が良さそうだな」
堂上が軽く顔を顰めながら郁に答えた。
 
ニュースで聞く事のある、局地的な大雨、とかゲリラ豪雨、という言葉を体感出来る様な大雨だった。
ワイパーを最速で動かしていても、視界は限りなく悪い。
そして、今車が走っているのは幹線道路などではなく、狭い道路だった。
堂上は車のスピードをかなり落として、駐車出来るスペースを探す。
 
何分か走った所で、やっと駐車できる様な空きスペースが見つかった。
そしてそのスペースに車を駐車させた。
 
雨脚はますますきつくなっている。
窓を見ても、激しく叩きつけるような雨しか見えず、1メートル先もまともに見えない様な有様だ。
 
聴こえるのは激しい雨音。
雷も鳴り出した様だ。
 
郁は、なんだか世界から切り離された様な感覚を覚えた。
今存在しているのはこの車の中の堂上と自分だけ、というような感覚。
 
「大丈夫だ。小一時間もすれば雨も収まるだろう。車に乗っていたら雷の心配もない」
郁が不安がっている、と思った堂上が郁を安心させる様に笑う。
 
「はい。それにしても凄い雨ですね。車に乗っている時にこんな凄い雨に遭うの初めてです」
「確かにここまで酷い雨はな。俺もそうそう経験ないな」
「……なんだか、世界から切り離された様な感じ、しませんか?今、この瞬間、存在しているのはこの車の中の教官とあたしだけ、みたいな。巧く言えないんですけど」
 
郁はさっきから自分が感じている感覚を堂上に伝えようとした。
 
堂上は郁の言葉を聞き、なんともいえない表情を浮かべた。
堂上が郁の腕を掴み、引き寄せた。
そして、唇が重なる。

「教官……?」
堂上が顔を離した後、郁が頬を上気させながら、首を傾げた。
 
いくら二人きりとはいえ、今は勤務中だ。
公私混同をしないよう、常日頃から心がけている堂上の行動とも思われない。
 
「雨が止むまで、休憩時間だ」
勝手な理屈に郁は思わず笑いそうになる。
 
「でも、誰かに見られたら……」
「今、存在しているのは俺とお前だけなんだろう?」
堂上が薄く笑う。
 
「そんな気がしませんか?って言っただけですよ!そんな事ある訳ないじゃないですか!」
「大丈夫だ。この雨だ。窓にくっついて、覗き込まないと見えやしない」
 
堂上はそう言うと、また郁の唇を塞いだ。
そして、雨が小降りになるまでの小一時間、雨のカーテンに覆われた車内でそれは繰り返された。



 
  1. 2011/08/29(月) 07:00:00|
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